昨日の夜21時発のバスに乗り、7時間かけてハザン省までやってきた。
ベトナムのバスは何故こんなにやらしいのか。
どいつもこいつも怪しい光を放っている。
ハザン省とは、ベトナム最北の地で中国と隣接している場所。
最近欧米人にはちょっとずつ知られてきているが、それでもまだまだ有名とはとても言えないし、日本では全くの無名エリア。
同じような場所だとサパのほうが有名だけど、サパは観光地化が進んでるとの情報多数だったためハザンへ行くことにした。
3〜4日間でハザン省をぐるっとツーリングしようという計画。巷では、「ハザンループ」「Ha Giang Loop」と呼ばれている。
朝4時半、バイタクでハザンバスターミナルからボンホステルへ向かう。
バイタクの兄ちゃんが、とりあえず何も知らないならボンホステルに行け的な雰囲気を出してきた(言葉はわからない)。
ボンホステルはネットで見たことあったし、正直よりどころも全くなかったから、兄ちゃんに従うことにした。
9時半まで待ってようやくバイクゲット。今日はとりあえず北に向かう。
THE山岳地帯みたいな自然が広がる道をひた走る。生憎の天候だったが、それでも山々の雄大さには驚いた。
比べるもんじゃないかもしれんが、自分の中では、ハザンの大自然はラオスのそれを圧倒的に超越していた。
(ラオスもこーゆうとこにくれば別だと思います!)
ここに暮らす人々の歩く姿、家々、飼われている牛や鶏、全てがリアル。
ハザンループにおいては、比較的大きな集落でのホームステイもしくはホテルステイが夜を明かす一般的方法。
左下がスタート地点。
バイクを借りる時に店の兄ちゃんから勧められたのは一日目にYen Minhステイ(真ん中)、二日目にDong Vanステイ(右上)、三日目に帰ってくるか、Du Giaステイ(真ん中下)。
これらの集落は比較的大きくて、ホームステイする場所もいくつかある。飯屋なども困らない。距離的にも無理なく走れるとのこと。
最初はそれを念頭においてに走っていたが、道中で思う。Lung Cu(真ん中上)に泊まりたい。ベトナム最北端の地で、少数民族もいて、興味しかわかない。ホームステイも奇跡的に一箇所あるっぽいし。ということで店の兄ちゃんのアドバイスは完全無視して北へ爆進することにした。
数回の迷子、凍てつく寒さ、そしてガス欠との戦いに勝ち(多分涙目でした)、目当ての場所についた。時刻は17時。バイクをレンタルしてからは7時間半経過していた。ケツが鬼木さんのふくらはぎくらい硬くなったのは今旅2回目の出来事。
Sister’s House。ここに泊まろうとする。しかし、扉は見たこともないどでかい鍵でロックしてある。当然ノックしてもだれもいない。
ここに泊まれなかったら俺は終わる。駆け上がってきた山道には、全くといっていほど電灯はなかった。もう日は暮れ始めている。絶対帰れない。標高何メートル(約1,000メートルとのこと)か知らないけど相当高い。めちゃ寒い。
凍死したくなかったのでガチでかい声で叫びまくると、奥から民族衣装っぽい服をまとった女性がでてきた。
どうやらホストマザーっぽい。
なぜどうやらかというと、言葉が壊滅的に通じない。helloは通じてもthank youは通じない。
とりあえず鬼のジェスチャーを駆使し泊めてくれと懇願した。
どうにか泊まれるっぽい。先程のくそごつい鍵を開けて部屋に入れてもらう。
10人部屋。だれもいない。多分しばらく人がきていない。
ホストマザーはベットを指定すると、ちょっと待ってて的な感じでどこかへ消えた。
ここで、自分はとんでもないところにきてしまったかもしれない、と思った。
少ししたらまたホストマザーがきた。夜ご飯食べよう(的な)誘いをうけた。
ついていくと、隣にあるホストマザーの家。ここに住んでる一家と夜ご飯を食べた。
本当に親切にしてくれた。僕がご飯を口に運ぶ度に僕のリアクションを見ていて、美味しいと親指を立てると顔をくしゃくしゃにして笑う。
民族で古くから飲まれている的な謎のお酒も沢山飲ませてもらった(めちゃ強い)。
日本酒みたいにおちょこに酒を注ぐ。飲む時は毎回乾杯する。
暖房なんてない。寒くなったら火をおこす。
キッチン。
家。
後からわかったことなのだが、普通はこのようにホストマザーの家で食事をするのではなくて、宿泊者用の建物で、旅人同士で卓を囲んで食事をとるらしい。ハザンでのホームステイはどこもそんな感じみたい。
今回は宿泊者が自分だけだったのでこのようなおもてなしをして頂いた。
ベトナムの最北端に住む民族のリアルな生活を見ることができた。偶然に偶然が重なった結果。
とても貴重な経験だ。
飲んでて思い出した。この人たちはきっとロロ族(少数民族)の人たちだ。この辺りに住んでいるという情報を前の日にネットでみていた。聞くと、ロロ族だと答える。
なんと、自分は今ベトナムで最も人数の少ない民族ロロ族の家に上がり込み、一緒に飯を食い酒を飲んでいる。自分の置かれている状況がいかに奇跡的なことか。
着いた頃は、とんでもないとこにきたんじゃないか疑惑を抱いていたが、酒が飲み終わった頃にはすっかり安心しきっていた。大満足の一夜だった。